発作性夜間ヘモグロビン尿症 (PNH)

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、血液の細胞(赤血球、白血球、血小板など)の元となる造血幹細胞と呼ばれる細胞が突然変異を起こし、PNH型赤血球という異常な赤血球が作られてしまう病気です。

PNH 型赤血球は、正常な赤血球の膜表面に存在する補体制御タンパクが欠けています。この補体制御タンパクは免疫システムの1つである補体の攻撃から赤血球を守る役割を担っています。そのため、補体制御タンパクが欠けたPNH型赤血球は、補体の攻撃を受け壊されやすくなります。赤血球が壊されることを「溶血」といいます。

PNHは何の前触れもなく発症し、人種や背景、年齢、性別を問わず発症する可能性があります1。欧米では、発症の平均年齢は30代前半ですが1、患者さんの約10%が21歳以下で初めての症状を経験しています2

溶血は自覚できるとは限らず、発見しにくいものです。溶血がコントロールされないままでいると、疲労感が強くなり脱力した状態になります。溶血は、次のような徴候や症状にもつながります:

  • 疲労
  • 生活の質(QOL)の低下
  • 嚥下困難(ものを飲み込みにくい)
  • 腹痛
  • 息切れ
  • 茶褐色の尿
  • 男性機能不全

溶血によって赤血球が壊されると、 赤血球の中にあるヘモグロビンが血流中に流れ出て、 いろいろな悪影響を与えます。流れ出たヘモグロビンが原因で、次のようないつ起こるかわからない、重大な合併症を引き起こすことがあります:

  • 腎不全
  • 血栓
  • 脳卒中
  • 心臓発作
  • 肝臓、脳、肺などの臓器障害

■ PNH患者さんとそのご家族の方向けの情報サイト:PNH Source

参考文献:

  1. Socie G, Mary JY, de Gramont A., Rio B, Leporrier M, Rose C, et al. Paroxysmal nocturnal haemoglobinuria: long-term follow-up and prognostic factors. French Society of Haematology. Lancet 1996 Aug;348(9027): 573-577.

  2. Parker C, Omine M, Richards S, Nishimura J, Bessler M, Ware R, et al. Diagnosis and management of paroxysmal nocturnal hemoglobinuria. Blood 2005 Dec 1;106(12): 3699-3709.