ATTR-CMは進行性かつ致死性の疾患であり4、本邦におけるATTRwtアミロイドーシス患者の予後の研究で、未治療の場合の生存期間は診断後約3.8年(中央値)であったと報告されました5。また、ATTR-CM患者の経過とQOL(健康状態や生活の質)について行われた調査によると、診断前3年間の入院回数の中央値は3回(IQR:1~5)と報告されています6。心不全患者では入院回数に伴い生存期間が減少すると報告されているため7、心不全を多く合併するATTR-CMにおいても、入院の抑制を目指した治療を、より早期に開始することが求められています。ATTR-CMに対しては、アミロイドの形成や沈着を抑制する疾患特異的な治療が必要とされます8。
しかし、ATTR-CMの早期診断・治療には課題が残されています。
ATTR-CMの心臓症状は一般的な心不全と一致するのに対し、心臓以外の症状は特に際立つ症状が無いため4、適切に診断されていない症例が相当数存在すると考えられています。患者も高齢者が多いため、症状の増悪があっても、加齢や診断済みの心疾患が原因と捉えてしまうことがあります。
現実として、疾患認知度の高まりなどからATTR-CMの診断数は近年増加していますが9,10、疫学研究などから推測すると、未診断の患者さんはいまだ相当数いると考えられます。
適切な診断と治療の実現のため、医師、患者さんともに本疾患のさらなる啓発が望まれています。