全身型重症筋無力症 (gMG)1

重症筋無力(MG)は自己免疫疾患の1つで、抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体などの自己抗体がつくられます。この、自分の細胞を攻撃する自己抗体が、神経と筋肉のつなぎ目の構造を破壊したり、アセチルコリン(ACh)などの信号を邪魔することで筋力が低下する病気です。

MGは、原因となる自己抗体の種類によって主に次の3つのタイプに分かれます。1)抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性 2)抗MuSK(マスク)抗体陽性 3)血清陰性(自己抗体が認められない)。そのため有効な治療法が違う場合があります。約80~85%が抗アセチルコリン受容体抗体陽性です。

2018年の全国疫学調査では重症筋無力症患者数は29,210人と報告されています。男性よりも女性がやや多く、男性の1.7倍程度となります。年齢を問わず発症しますが、女性では30歳代から50歳代に、男性では50歳代から60歳代に、発症のピークがあります2

一般的に眼球やまぶたの動きをコントロールする眼筋の筋力低下から始まり、多くの場合重症化して頭部、頸部、体幹、四肢および呼吸筋の筋力低下など、全身型重症筋無力症(gMG)として知られる全身型へと進行します。

gMGの患者さんは不明瞭な会話、息苦しさ、嚥下障害、複視や霧視、日常生活に支障を来すほどの疲労感、身動きに介助を要する状態、息切れ、そして呼吸不全を呈する可能性があります。合併症、増悪、筋無力症クリーゼが生じた場合、長期間の入院や集中治療室での治療が必要となり、生命を脅かす可能性もあります。

 

■ gMG患者さんとそのご家族の方向けの情報サイト:MG Source

 

参考文献:

  1. 「重症筋無力症診療ガイドライン」作成委員会編.重症筋無力症診療ガイドライン2014.
    東京:南江堂;2014.

  2. 神経免疫疾患のエビデンスによる診断基準・重症度分類・ガイドラインの妥当性と患者QOL
    の検証に関する研究 2018年度難治性疾患政策研究事業 総括研究報告書