ビヨントラ®について
ビヨントラ®は、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)患者さんの治療薬として承認されているトランサイレチン(TTR)四量体安定化薬です1。2024年より米国、2025年より日本や欧州連合(EU)などの国々において承認を得ています。
ビヨントラ®は、トランサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)患者さんのために承認された経口治療薬で、ATTR-CM発症の根本原因であるTTR四量体の不安定化を抑制するものです。TTR四量体における2つのサイロキシン結合部位に選択的に結合することにより、疾患抑制性のT119M変異型TTRと同様の立体構造にシフトすることで四量体を安定化させ、単量体への解離を抑制し、新たなTTRアミロイド形成の律速段階を抑制します。
ビヨントラ®の安全性と有効性は、最長で30ヵ月にわたりビヨントラ®もしくはプラセボによる治療を受けたATTR-CM患者さん632例(対象者の年齢は50.3歳から90.4歳まで)による、二重盲検前向き臨床試験(海外第III相試験)で検討されました2。
主要評価項目である30ヵ月時点までの固定投与期間での全死因死亡割合、心血管症状に関連する入院の累積頻度、NT-proBNPのベースラインからの変化量、及び6分間歩行試験(6MWT)のベースラインからの変化量による階層的複合エンドポイントにおいて、ビヨントラ®群はプラセボ群と比較し有意な治療効果が認められ(p<0.0001、F-S法、両側有意水準αB=0.04)、ビヨントラ群の優越性が検証されました(Win Ratio 1.8、96%CI:1.402~2.240)2。
ビヨントラ®による治療を受けた患者さんでは、30ヵ月時点までの心血管症状に関連する入院について、1年あたりの入院の頻度が有意に低下しました(相対的リスク比 0.496、95%CI:0.355~0.695名目上のp値 <0.0001、負の二項回帰モデル*)2。
また、日本人のATTR-CM患者における安全性・有効性は、オープンラベルの国内第III相試験によって検討されています。
主な副作用は悪心(1%以上2%未満)で、その他下痢、腹部不快感、上腹部痛、血中クレアチニン増加(0.5%以上1%未満)が認められています1。
* 投与群、割付け因子による遺伝子型、NT-proBNP値及びeGFR値のランダム化層別割付け因子、並びにオフセット項を含む