ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)

ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)は、極めて稀な進行性の遺伝性代謝性疾患であり、複数の臓器に深刻な影響を及ぼし、早期死亡を引き起こします1

LAL-D患者さんでは、コレステロールエステルとトリグリセリドを分解するライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)酵素の活性が遺伝子変異により著しく低下または欠損します1。これにより肝臓、脾臓、消化管、血管壁および他の臓器に脂質が慢性的に蓄積し、その結果として肝線維化、肝硬変、肝不全、加速性アテローム性動脈硬化症、心疾患やその他の深刻な疾患を含む、複数の臓器への進行性の障害をもたらします1,2
 
LAL-Dは肝臓、心臓、脾臓、消化管などの複数の主要臓器系に障害を引き起こします1。LAL-D患者さんに最も多くみられる症状は肝臓の肥大や線維化および/または肝硬変、肝不全といった肝臓疾患で、総コレステロール、トリグリセリドおよびLDL-c値の上昇、HDL-c値の低下などの心血管系症状も多く認められます2,5。また、脂質代謝異常とそれに関連した加速性アテローム性動脈硬化症の発症リスク、すなわち動脈壁内外への脂質、コレステロールおよびその他の物質の著しい蓄積により、早期死亡に至る可能性もあります2
 
乳児のLAL-D患者さんでは複数の臓器で症状が急速に進行し、多くの場合、数ヵ月のうちに死亡に至ります。乳児のLAL-D患者さん35名を対象とした研究において、89%(31/35名)が生後12ヵ月以内に死亡に至っており、生存期間の中央値は3.7ヵ月でした。早期の成長障害を有する乳児のLAL-D患者さんでは、96%(25/26名)が生後12ヵ月以内に死亡し、生存期間の中央値は3.5ヵ月でした3

小児および成人におけるLAL-Dの発症年齢中央値は、Bernsteinらによる研究では5.8歳、Burtonらによる別の研究では9歳と報告されています1,4。LAL-Dは小児および成人の患者さんに大きな負荷を強いることになります。ある研究では、肝生検を受けた小児および成人のLAL-D患者さんの64.5%(20/31名)で肝線維化および/または肝硬変が認められ、そのうちの85%(17/20名)が18歳未満でした4

LAL-D患者さんの多くは正しく診断されないことがあり、このことが深刻かつ予測不可能な合併症を発症するリスクを増加させています1.2。Burtonらは発症年齢中央値(9歳)と診断時の年齢中央値(15.2歳)との間の大きな開きは、疾患の認知と診断方法の啓発が必要であることを示すものであるとしています4。LAL-Dは血液検査でLALの酵素活性を測定することで診断することができます6

LAL-Dに関する参考サイト:

参考文献
1. Bernstein DL, et al. Cholesteryl ester storage disease: review of the findings in 135 reported patients with an underdiagnosed disease. J Hepatol. 2013;58:1230-43.
2. Reiner Z, et al. Lysosomal acid lipase deficiency – an under-recognized cause of dyslipidemia and liver dysfunction. Atherosclerosis. 2014;235:21-30.
3. Jones SA, et al. Rapid progression and mortality of lysosomal acid lipase deficiency presenting in infants. Genet Med. 2016; 18:452-8.
4. Burton BK et al. Clinical Features of Lysosomal Acid Lipase Deficiency. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2015;619-25.
5. Grabowski GA et al. Lysosomal acid lipase deficiencies: the Wolman disease/cholesteryl ester storage disease spectrum [online]. In: Valle D et al. The Online Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease. New York, NY: McGraw Hill; 2012.
6. Hamilton J, et al. A new method for the measurement of lysosomal acid lipase in dried blood spots using the inhibitor Lalistat 2. Clin Chim Acta. 2012;413:1207-10.